2012-01-01から1年間の記事一覧

プレゼントだ

『おとなりの若い父親が練習するショパンでわたしたちは踊った』 雪舟えまさんのこの歌を見て、歌集がどうしても欲しくなって、アマゾンの古書を注文した。 まだこの本が出たばかりのころ、うめだの紀伊国屋書店で見ていたのだけど、どうしようか迷って迷っ…

さむい。 このごろ、夜に雨が降ることが多い。だから、毎回、みんなが職場から傘を持って帰ってきて、でも、つぎの日はだいたい晴れるから、そのままどんどん傘がたまっていく。今、玄関がすごい。「いっぱいすぎるなぁ」って、おとうとと笑った。 風邪をひ…

西さん

西加奈子さんの「ふる」を読んでいる。まだ途中やけど、西さんの書いたものを読むと、びっくりする。びっくり。これが一番近いと思う。 昔の自分とか、今の自分とか、どこへ行ってもおる自分、ついてくる自分、からだが移動したら、もちろん自分のなかのもの…

おばあちゃんのお赤飯

テーブルの上に赤飯があった。えんじ色っぽいパックに入った赤飯。昨日、おとといと、おねえちゃん一家がおばあちゃんちに行っていたから、あ、きっとおばあちゃんのお赤飯や! と、うれしくなった。 食べたら、おばあちゃんちの味がした。においも。 テーブ…

96歳

おととい、仕事を終えて、マンションのエレベーターホールに入って、いつも通り郵便受けの方へ行くと、訃報を知らせる紙が目に入った。黒くふちどられた紙を見ると、いつも少し息苦しくなる。 名前を見ると、あ、あのおじいちゃん? と思った。下の名前はは…

いらないもの

余分なものはいらないと、思いっきり、すっきりとさせてみたい。犬が、濡れたときにぶるぶるして水を吹き飛ばすみたいに、バトミントンの選手が小さく何度もジャンプして、なにかを整えているみたいに、大きな溜め息を吐いたり、あたまを思いっきり振ってみ…

はさみケースとはさみと

前髪をざくざくと切った。またみじかく切りすぎたかも、と思いながら、はさみをしまおうとして、いつものはさみを入れているケースの裏地の赤い色が目に入って、いつもなら何にも思わず、ちゃちゃっとしまってお風呂に入るのに、今日は、ああ、はさみがたく…

湯たんぽ

足元に湯たんぽを置いて、軽い、ふわっふわのふとんの上に、重たいふとんを重ねて眠るときが、今、一番、もっとも、最上級の幸せ。まくらはいらない。原田郁子さんのユニコーンも鳴らすと、もっと最高! さむくなったよ、ほんとうに。 わたしは今の生活をと…

寒くなってきたら、見えているものがゆっくり見えるというか、いつもよりももっと入り込んでくるような気がする。 朝、地下鉄の駅を上がって、職場に向かって歩きはじめると、毎日ではないけど、三日に一度か二度ほど、わたしの前をベビーカーをおしている女…

雨の名前

今日雨がすごかったみたい。わたしはひどい雨にはあわなかった。 朝からのアルバイトを終えて、家に帰ってごはんを食べて、夕方からのアルバイトに行くと、「雨、止んでた? 雨、降ってなかった?」と聞かれた。 わたしは、あ、なんか雲が黒いなー、雨、降り…

さて

部屋がわやです。こう書いたら、長谷川義史さんの「ガンジーさん」を思い出した。にんげんはカトリセンコー、と、わけのわからない歌を歌うガンジーさんがうらやましい。ガンジーさんのようなひとがいること、いらっしゃること、ガンジーさんという絵本が家…

光浦さん

オアシズ、光浦さんの「男子がもらって困るブローチ集」を買ってしまった。このあいだ、何かの雑誌を立ち読みしているときに(何かは忘れちゃった、)、『ダサい、で済まされるか、世間がおもしろがってくれるかのギリギリのところを攻めたい』(ちょっとちゃう…

ただいま

今、帰ってきた。誰も歩いていない道を、ひとり歩いて帰ってくるから、もう、ずっと、街灯の光ばっかり見ている。今日は風が強くて、葉っぱがうわーっと、桜が散るみたいに散っていて、うっわー!と思った。葉っぱってこうやって散るんや、って思った。夜や…

「皮膚と心」

さて、わたしは今日「皮膚と心」を読んでいた。さてと言うのはおかしいかな。まあいいや。わたしは今日「皮膚と心」を読んでいた。太宰治の「皮膚と心」。 『いつもあの人は、自分を卑下して、私が何とも思っていないのに、学歴のことや、それから二度目だっ…

「プックリ・チッカリ・ピッポドゥ」

朝、目を覚ました時からこれを読みたかった。なんでだろう。急にあれが読みたいと思ったのだった。永井宏さんの「プックリ・チッカリ・ピッポドゥ」。本棚の奥にちゃんとあった。リュックに入れて、家を出る。駅まで2分。持っているだけで、にやけてくる。 …

ちゃんとって

とても涼しい。なんだか最近ちゃんとしていなくて、ちゃんと、というのは、どうゆうことなのか自分でもわからないけど、ちゃんとしていない。いつもに増して、ぼうっとしていて、目の前のことをおろそかにしている。昨日だって、いそがしさを理由にして、お…

「その街の今は」を読んでいるよ

柴崎友香さんの「その街の今は」を通勤の電車のなかで読んでいる。まだ、途中。小説の舞台がわたしの知っている心斎橋であることや、今年28になる年齢なこと、ちょうど9月頃の話であること、アルバイト生活をしていることも、今のわたしと一緒。(主人公の歌…

歯医者からみえる木

親知らずを抜いた。二日続けて上の歯を二本。今日の朝は混んでいて、痛い麻酔を打ってもらってから抜くまですこし待った。その間、目の前にうつし出されているわたしのレントゲン写真と、窓の外に見える木を交互にみていた。(歯医者さんは3階)レントゲンは…

なつのよる

虫歯ができたと思ったら違うかった。それはよかったけど、最近からだの衰えが気になる。右側だけ白髪がぎょうさん生えてくるし、肌がよれる。なんか、あたりまえやけど、ああ、もう小学生には戻られへんねんな、と思った。鳩をもう追いかけまわしたりできひ…

たべてるねん

なあどうしたいんって聞いてみる。なあなあどうしたいんって。ひとつひとつ掬えればいい。おおきいことなんかいらへん。ちいさい、見えへんくらいちいさくたって全然かまわへん。むしろ、そっちの方がいい。気づくか気づかへんかの瀬戸際をいきたい。

かみなりの朝

今日の朝、5時ごろかな、かみなりがすごかった。どーんばりばりばりといってたから目が覚めた。どこかに落ちた音がした。飼っているうさぎのゆきっちゃんがびっくりしてないか確認すると、ゲージの床でぺったりと平らになっていた。一度だけおでこを撫でた…

たゆたう と つづいてゆく もの。

はやく目が覚めたので、クラムボンのドキュメンタリー映画を観ている。聞きたい言葉があったから、流す。戻っては見、また戻ってはまた見る。夕方か、明け方。どっちだろう。水色うすむらさきグレーの中で伊藤大助さんが言う。 「全部やっていることにこめた…

焼きおにぎり

暮しの手帖59号(今でているやつ)に、焼きおにぎりの特集が載っている。それを見て、「ああ、そうやった、わたしは焼きおにぎりが食べたかったんやった」と思いだした。 6月の初め、岡山のおばあちゃんちに向かう新幹線の中で読んでいた「バナナは皮を食…

待つ

手紙を書きたい、書こうと思っているひとが何人かいる。書くには丸一日、それか、一日少しずつ、毎日ちょっと直しながら書くしか、わたしには伝えることができない。直接話すことなんてほんとうに苦手で、思っていることの、ほとんどが言えない。言った途端…

おふたりのこと

通勤の電車の中で今読んでいるのは、武田百合子さんの「富士日記(中)」。『今朝、主人はりんどうを一本、濃い、まっさおの花が七輪もついているのを、胸のポケットに入れて庭を下りてきた。起きぬけに、ぼんやりと庭に出ていた私の前を、胸を反らせて、花…

7月26日

7月26日といえば、お母さんの誕生日。生きていれば何歳なのかと計算してみると、多分55歳。おじいちゃんに「お母さんのお供え、ちゃんとしてあげるんで」と、あんなにも言われているのに、ちゃんと出来ていない。仏壇の電球も切れたままやし、花も造花…

本を愛しなさい

長田弘さんの「本を愛しなさい」をここんとこ毎日、眠る前に読んでいる。読んでいるとすぐ眠くなって、眠いなりにもおんなじところを何回も何回も読む。 『オーデンの父は、サクランボを盗む人間をきらった。働いて報酬を受けとるのではなく、利益のために働…

あとがき

加藤久仁生さんの「あとがき」を読み返している。読み返しているというか、見返している。全部好きだけれど、今のわたしの気分にぴったりなのは「餅」の章。男の子が大きなお餅と一緒に過ごしている。あたまの上に載せたり、お手玉にしてみたり、お餅の上で…

なやみ

悩みのないひとなんていないよ、と、昨日だったか、一昨日だったか忘れたけど、そんなことを言っていたドラマか映画を見た(何かは忘れた)。そんなことは、よく聞くような言葉で、何も思わず、何も感じず、ぼんやりと見ていた。 ぼんやりしながら、しばらく…

まばたき

今日ずっとあたまの中にあったのは、なんで今更、な、数ヶ月前に観た映画の一場面。市川実日子主演の「Blue」 すきなひとの部屋にあった画集を借りてきて、自分の家で見ている場面。そのあと、自分でも絵を描き始めるのだけれど、物が少ない部屋で、広い机の…