ちゃんと生きてる

おそらく小学5年のころ、教室の後ろの方に小さい本棚があって、

そこに、恐ろしい漫画が置いてあった。

多分、中学生くらいの女の子が主人公で、

学校の健康診断の場面から始まって、

聴診器をあてたお医者さんが、ん? ってなって、

「し、心音が聞こえない……」ってなって、

でも、その女の子は動けて、歩いたり、なにか思ったり、考えたりは、

いつも通りできて、

でも、どんどん体は腐っていって、最後はうじ虫だらけになってしまうという話やった。

うじ虫だらけになっても、意識は最後の最後まであった。


すごく恐くて、でもわたしは何度も何度も読んだ。

あれのせいで、わたしは、自分がほんまに生きてるんかな? って、

ほんまに生きてる自信がたまになくなる。

あれ…? 生きてる、よなぁ…

わたしおるけど、ちゃんと生きてるよなぁ、ってなる。