「その街の今は」を読んでいるよ

柴崎友香さんの「その街の今は」を通勤の電車のなかで読んでいる。まだ、途中。

小説の舞台がわたしの知っている心斎橋であることや、

今年28になる年齢なこと、ちょうど9月頃の話であること、

アルバイト生活をしていることも、今のわたしと一緒。

(主人公の歌ちゃんと違うところはわたしは出不精なところ)

心斎橋や四ツ橋がこと細かく描かれていて、

わたしも知っている場所だから、

読みながら、歌ちゃんと一緒になって、しっかりと足をつけて心斎橋を歩く。


ソニータワーの地下にあった映画館を思い出したり、

ロフトをみあげたり(ロフトも今はもうなくなったっけ?)、

大丸の前を通るときは、働いている友だちのことを思ったり、

心斎橋にいけばいつも寄るアセンスやアーダの前も通る。

歌ちゃんは昔を思い出したり、最近のことを考えたり、自分も知らないもっと昔を思ったりしている。


歌ちゃんが四ツ橋筋をわたって立花通りを通っているとき、

わたしは階段を降りたところにある帽子屋を思い出していた。


高校生の頃、2年生のときかな、

かなちゃんとふたりでああでもないこうでもないといいながら帽子をえらんだのだった。

(今は友だちにあんなにも買い物に付き合わせることなんてできない。高校生の特権だね)

悩んで悩んでやっと買ったのは5000円くらいの紺色の帽子。

それははじめてわたしが男の人に買ったプレゼントだった。


その帽子を渡すと、なになにとにやにや開けてすぐにかぶってくれた。似合っていたかは覚えてない。

それをかぶってフェスティバルゲートに行ったことは覚えている。おばけやしきみたいなのにも行った。




立花通りを通っても思い出さないのにな、と思いながら顔をあげたら、

ちょうど電車が駅に着いていて、その駅はその人の最寄りの駅だった駅で、

電車からも住んでいた部屋の窓がみえる。

琵琶湖の近くに転勤になったふたつ年上の少し訛っていたその人のこと、

わたしは、大好きだったけど、好きにはならなかったのだった。


そんなことを思い出した。明日もつづきを読むよ。