2012-01-01から1年間の記事一覧

小風呂敷

あまり好きではない夏がはじまりはじめている。中川政七商店に置いてあるものが好きすぎて、しずかにいつも興奮して、そんで、ぽつぽつ、少しずつやけど、わたしの手元にも増えてきている。おととい買った小風呂敷というものもとてもいい。眺めていると、な…

27歳フリーター

これからのことについて考えることなんてほとんどなかった。わたしは今27歳フリーターで、わたしが高校生の時、アルバイト先に27歳フリーターの人がいて、「27歳フリーター」と呼んで、こっそり馬鹿にしていたのだけれど(その人のことは好きだったよ。…

すっきりと

たまにタイにいた時のことを思い出す。スーツケースに、綿のワンピース三着とレギンスを数枚、行く前にユニクロで買った下着を五セットと、使い捨てコンタクトレンズと歯ブラシ。あと、「14歳からの哲学」と、谷川俊太郎の「はだか」。あとなんやろう。あ…

今日、本屋さんで働いてるときに、おしくらまんじゅう(多分)っていう絵本の表紙だけを見て、物体になる前の中身のように思えた。人間の中身。かたちははっきりしなくても、目線の感じがなまなましくて、生きてるって思った。その絵があたまの中に残ってる。…

手紙

人が手紙を書く姿というのはとてもいい。先週、ちょうど先週の日曜日、わたしはおばあちゃんの家にいた。いとこがお嫁に行ってからというもの、おばあちゃんの家は、行くたびになんだかすっきりしていっている。いとこの子供だから、おばあちゃんやおじいち…

はるとくん

おねえちゃんが次男を出産した。5月14日が誕生日。「晴れるに桜井翔の翔で、はるとっていうねん。いいやろ」と、いつものおねえちゃんの声で言った。はるくんが産まれたのは、偶然にもわたしが産まれた病院と一緒で、健やかに成長しすぎている今のわたしか…

いやしのパン

職場でパンをもらった。だいたいいつも月曜日にもらえる気がする。このパンを買ってきてくれている人がだれなのか、実はわたしは知らない。わたしが働いているのは大きな工場だから人がたくさんいるけど、直接関わることがある人って十人にも満たない。その…

きいろいもふもふ

パソコンのとなりには、全身が黄色いもふもふで、黒目はころころと動いて、鼻は水色に白の水玉のボタンでできた子がいる。京都のすてきなパン屋さんで買った。二階は雑貨屋さんだった。あたまのてっぺんからはピンクと白の毛糸が輪っかになって出ていて、そ…

血沸き肉躍る

からだというものは正直だとつくづく思う。なにかを見て、聞いて、ふれて、おお!と反応する。わなわなと落ち着かなくなる。荒川洋治さんが講座でおっしゃっていた、「血沸き肉躍る」。なんとそのままのことばなのだと思う。まさしく。すきな小説に、なにかの…

バーレルセル

『ムーミン谷の十一月』という本を、今日読み終えた。翻訳をした鈴木徹郎さんという方が解説を書かれていて、その中に、ムーミン作者であるトーべ・ヤンソンさんが、「ムーミンって、動物なんですか、人間なんですか」という質問を受けたとき、「バーレルセル…