バーレルセル

ムーミン谷の十一月』という本を、今日読み終えた。

翻訳をした鈴木徹郎さんという方が解説を書かれていて、

その中に、ムーミン作者であるトーべ・ヤンソンさんが、

ムーミンって、動物なんですか、人間なんですか」という質問を受けたとき、

「バーレルセル」だと答えたと書いてあった。

「バーレルセル」というのは、日本語だと、「存在するもの」らしい。

もうすこしいいなおすと、「たしかに、いることはいるんだけれども、なんといいあらわしていいのかわからないもの」らしい。


 たしかに、いることはいるんだけれども、なんといいあらわしていいのかわからないもの


スウェーデン語には、すてきなことばがあるなぁと思った。


なんといいあらわしていいのかわからないものというのは、ものすごく多い。

わたしの頭の中や、心臓のおくの方に確かにあるものを、パソコンに打ち出したり、

ノートに書いたり、声に出したり、なんらかの形でことばにすると、なんだかすこし違ってしまうこと、

でも、すこし違うということは、違わない何かが、やっぱり確かにあること。

それをすぐにことばにしてしまわずに、わたしの頭の中や、心臓のおくの方であじわう。

それでいいのだという気がしてくる。