記憶

昨日あたりから金木犀の匂いが強くなった気がする。

金木犀といえば、毎年思い出す場所があって、

思い出しては、ちょっと行ってみる。

行ってみると言っても、家のすぐ近く。

今日も雨のなか、ぐるーっと遠回りをして、そこを通って帰ってきたら、

やっぱり、ちゃんと金木犀の匂いがした。


記憶って、すごくおもしろくて、

わたしは、ここを今は金木犀の木がいっぱいあるところやと知ってるけど、

子どものころは、「すごくたまにこの匂いのする場所」として覚えてたのを覚えてる。

「うわ、またしたこの匂い。やっぱりここや」と思ってた。

だから、わたしは他の場所で金木犀の匂いがしても、

夕方くらいの日差しのこの場所をなんとなく思い出してる。


もうひとつ。あじさいの時期になると、

ピアノ教室に行ってた道の途中にあるあじさいの咲く場所を思い出して、

そこにふらっと行く。そしたら、咲いてる。

お、今年も咲いてる咲いてる、ってうれしくなる。


わたしはあんまり花とか木にくわしくないけど、

ここにはどんぐりがいっぱい落ちてて、

ここはむらさきいろの実の生ってるとこで、服に汁ついたらとれへんとか、

ここ通ったらひっつきむしいっぱいつくとか、

覚えてておもしろい。


ちょっと前につるちゃんからメールがきて、(いや、もう半年くらい前かも)

たてよこに10文字か15文字くらいずつひらがなが書いてあって、

そのなかから、最初にみつけた3つの言葉が今年のキーワードらしいというやつ、

そのメールを思い出した。


わたしは、きおく、すいみん、えがお、やった。

つるちゃんに言うと、ははは、ふっちーらしい、と言われたので、

今年の残りのあと2カ月とちょっと、また心新たに、

きおくも、すいみんも、えがおも、全部大事にしようかな、なんて思った。

つるちゃんは、ゆめ、きぼう、しごと、やったらしい。

それも、とてもつるちゃんらしい。きらきらしてる。きらきら。