おばちゃん

今日はずっと伯母のことを考えてる。

なんでやろうね。

今度、学校で講座があって、それが次で最後らしいから、

気合いをいれてがんばろうと、早々と、小説の課題どうしようかなと考えていたら、

伯母のことが浮かんで、それからずっと伯母のことを考えている。


伯母は、おかあさんのおねえさんで、

名前は、太平洋の「洋」に、子どもの「子」で、「洋子」、さんという。

みんな、洋ちゃんと呼んでる。みんなというのは、おじいちゃん、おばあちゃん、くんちゃん。

わたしは、おばちゃんと呼んでる。


おばちゃんは、ちびまる子ちゃんのおかあさんの髪をちょっと小さくしたような髪型で、

細い金属で出来たフレームのめがねをかけていて、

わたしのなかで印象深い服は、えんじ色と黒のチェックのベスト。

いつもなのかはわからないけど、わたしがいるときはいつも5時くらいに起きてる。すごく早起き。

早く起きて洗濯物を干している。そんなイメージ。


おばちゃんを思い出すとき、思い出すときというか、思うとき、

音が静かだと思う。

歩くのも、動作もなんだか静か。

でも、おしとやかな感じではなくて、とことことこ、ひょこひょこ、って感じ。

ちょっと違うけど、でも、なんとなくそんな感じ。

それで、その、とことこに付随する音がすごくきれいだと思う。

流しの水の音、なにか細々ときざむ音、歩くとき畳をする音、ポットのお湯を注ぐ音。

お皿を置く音、お菓子の袋を開ける音なんかも、なんでかわからないけど、きれいに聞こえる。


このあいだ、おばちゃんに会ったとき、

「おばちゃん今仕事なにしてんの?」と聞くと、

「ご飯作りよる」

「ご飯? お店の?」

「ううん、年寄りの」

と言っていた。その言い方。


おばちゃんが仕事に向かうとき、ついでに駅まで送ってもらった。

「おばちゃんこれから仕事じゃけえ、見送れんで」と言っていたけど、

車から降りて、切符を買うところまでついてきてくれた。

それで、車に戻っていくおばちゃんは、やっぱり今思い出しても、

いつもの、ひょこひょこひょこという感じで歩いていて、こっちを見て、ちょっとしまりのない顔で笑って、

ぴらぴらと何度か手を振って、またちょっと笑って、すごくゆっくり車を発進させてた。