はみがき

こうじゃないとあかん、なんてないこと知ってるけど、

あらためて、ああ、28か。もう28なんやなって思って、

なにこの28歳。甘えた28歳。あかん、あかん。

ちゃんと、ちゃんとしな、と思って、

まず、歯をものすごくていねいにみがくことからはじめようと思って、

奥歯から順番に時間をかけてみがいていった。

立ったままはしんどいので、自分の部屋のベッドの上に座ってみがいた。

壁にもたれて、斜めうえの壁と天井の境目の角を見ながら、

あ、またちゃんとしてないな、なにこの体勢、と思いながらも、

歯をみがく、という行為は、ここにおることはっきりわからされる行為だと思った。

なんか、うまく言われへんけど、

たまにある、「は! そうや、わたしや」がじわじわきた。


ほんまにうまく言われへんけど、

わたしは死んでしまうまでわたしなんやってあらためて思うというか、

そんなんあたりまえやねんけど、はっとして思うというか、

なんかそんな感じ。こわくない。

明日はなにしようって思う。そんな感じ。