基礎

ふとしたときに思うものってなんやろう、と思う。


もう何年も前、わたしには大切にしていた雑誌があった。

TOMOTOMOという雑誌。多分、2005年4月号じゃなかったかな。

もしかしたら、2006年かもしれないし、2004年かもしれない。

細かいことは覚えていないけど、4月号だったのは、確か。

わたしは、その雑誌をさっき探したのだけど、見つからなかった。

きっと捨ててしまったんやろうと思う。断捨離をしたときに。


その雑誌は、美容雑誌で(美容師とか、美容師になる人が読む雑誌)、

わたしはその雑誌が好きで、

毎月届くのを、とても楽しみにしていた。

届くと、うわー、きたきた! と、嬉々として開いて見ていた。


なにがよかったかなぁ。

その月によってまた違ったりもしたけど、

最初の数ページは、だれかすごい美容師の人が作ったものが載っていて、

わたがしみたいな頭だったり、昔の漫画にでてきそうな頭だったりして、

(普通なのもあった)

その周りのセットも、色も、モデルの子も、全部いいときとかは、

ほんとうに見ていて楽しかった。もう、大興奮だった。


他のページには、レッスンの仕方とか、

お昼はこんなん食べてます。休みの日はこんなんしてます、釣りに行きます。

と、どっかの美容師の人の情報が載っていて、へえ、と見ていた。


文字のところもおもしろくて、

夢日記をつけると、感性が磨かれるというからつけるようにしている。

そしたら、夢の中でも自分の動きたいように動けるようになった。とか、

こうなるには、なにか理由があるからこうなっているのだから、

そこから考えなきゃいけない。だとか、まあ、いろいろ書いてあった。

わたしは、へえ、と見ていた。



それで、わたしの大切にしていた4月号の最後の方のページには、

髪を白に近い金色に染めたおじさんが、短い文を書いていて、それは、


『かっこいい美容師になるためには、基礎からきちんとしなければいけない。

基礎といっても、美容師の基礎じゃないよ。生きること、感じることの基礎。

おそうじや、ごはんを食べること、本を読むこと、スポーツをすること、

友達と話すこと、旅をすること、それらをいつくしんで心から楽しむ。

そして、このまま日本はどうなっちゃうんだということも考える。

そのうえで、美容師としての仕事も成り立つのだと思います。』


というような感じだったと思う。

(わたしの記憶だけで書いたから、ちょっと違うと思うし、短くなった)


こうして書くと、なんかちょっと恥ずかしいけど、わたしはこの文が大好きだったし、

何度も読んでいたから、今でもけっこう覚えていた。

わたしは、もう無理やって、美容師は辞めたけど、

これってなんでもあてはまると思う。


なんかこれを急に思い出した。

思い出して探したけど、なかった。