デッサン

このあいだ行った古本市、もっとゆっくり見れればよかった。

あと、もっとお金があればよかった。

お金があったら、花屋で小さい苔の鉢を買いたかった。

その花屋さん、ほんまにすてきやった。「山の花」の本が置いてあったお店。

そこでもう1冊本を買って、それもずっと見てる。

パプーリとフェデリコという絵本。


棚に寝かせて置いてあった「パプーリとフェデリコ」を手にとって、

ちょっと開いて、いいなぁって思った。どこかのおじいさんと少年の話。

しばらく見ていると、お店の奥さんなのかな、店主さんなのかな、

なんとなく暮しの手帖に出てきそうな、白髪混じりのすてきなひとが、

ガブリエル・バンサン、わたしも大好きです」と話しかけてくれた。

ガブリエル・バンサン? と思って、表紙をみると、

作/ガブリエル・バンサン、と書いてある。

「いいですね」と言うと、

ガブリエル・バンサンについていろいろ教えてくれた。

「絵本を書く前はデッサンをずっとされてたそうです」みたいなこと。

へえ、と、わたしは、その「パプーリとフェデリコ」と「山の花」を買って帰った。


その絵本を家でずっと見ていて、デッサンの意味を調べてみたくなった。

デッサン【dessin】①絵画・彫刻の下絵。素描。

②線がきによる単色画。


わたしが勝手になんとなく思っていたデッサンは、見えるものを見えるまま書くこと、で、

この本(あれからもう一冊アマゾンで買った)を見ていると、

人間って、見えないものも見ているんだなぁ、とあらためて思う。

気がつかないうちに見ているものを、ガブリエル・バンサンは見せてくれてる。

でも、見て、「わたし、これ知ってる」って思うから、

やっぱり、見えないものもわたしも見れてるってこと。気づいてないだけで。

ほんとうに全然気づいてないけど。


どこにあるんって。さわれない。