春眠
春は眠いな、と思いながらうとうとといつのまにか寝ていて、
ちょっと前に起きて、でも、また床に寝っ転がって、ぼんやり天井を見て、
「余裕があること」についてとか、「風通しがよいこと」についてだとか、
考えたりしてた。
そんなことを考えながらも、
「壁が古くて汚いなぁ」とか、「電気の傘を明日そうじしよう」とかも思って、
「そういえば、この電気の傘のこと、おかあさんと話したなぁ」ってことも思い出した。
わたしの部屋の電気の傘はとてもかわいい。
丸くて、白い半透明のガラスのようなプラスチックのような、ちょうどそのあいだくらいの質感で、
綿毛になったたんぽぽみたいな形のマークが、赤い色で上下交互にぐるりと一周かかれている。
おかあさんは、この電気の傘を子ども部屋用にと、ここに引っ越してきたときに選んで買ったのだそう。
もう30年以上経つはず。
この家には、おかあさんが選んで買ったものがたくさんあって、
食器棚も超最高やし、電話台として使っていたものも、わたしは大好きやし、
それを「いいなぁ」ってあらためてたまに思うこともあって、
そのたびに、「おかあさんこれいいなぁ」って大きな声で言いたくなる。